活躍を期待する選手紹介

【弓道】寺﨑 隼登(てらざき はやと)さん

【プロフィール】
寺﨑 隼登(てらざき はやと)
1990年2月1日、栃木市生まれ
栃木市立藤岡第一中学校―栃木県立佐野高校―日本工業大学―シーケーエンジニアリング(現・マレリ)
身長168㎝、体重65㎏ 趣味は釣り


【実績】
2004年 第15回関東中学生弓道大会 個人優勝
2018年 福井国体 近的成年男子優勝


社会人で才能開花、遅咲きの31歳


 袴に身を包み、背筋をピンと伸ばした美しい立ち姿。弓に矢をつがえ弦を引き絞ると、筋肉が隆起したその二の腕から、渾身の力が込められていることが伝わってきます。弦から指が離れた瞬間、解き放たれた矢は緩やかな放物線を描き、60m先の的に鈍い音を立てて突き刺さりました。5月中旬、宇都宮市の栃木県体育館弓道場では県内の有力選手を集めての記録会が行われました。来年の「いちご一会とちぎ国体・とちぎ大会」出場を視野に入れる寺﨑 隼登さん(31)の姿もそこにありました。
 


栃木県体育館弓道場で行われた記録会で弓矢を握る寺﨑さん

 中学時代に県大会、関東大会優勝の経験はあるものの、高校時代は全国高校総体(インターハイ)の出場はなく、遅咲きの選手です。大学時代は体育会弓道部ではなく栃木県弓道連盟藤岡支部に所属し,大学卒業後は勤務先の弓道部の一員として競技を続けてきました。そんな寺﨑さんが一躍スポットライトを浴びたのが、2018年の福井国体でした。3人一組で競う成年男子近的に出場した寺﨑さんら本県チームは予選を突破すると、上位8チームによる決勝トーナメントも順調に勝ち進み、決勝でも佐賀代表を下し頂点に立ちました。
 国体の同競技は3人が4射ずつ計12射を行い、的に当たった本数で競います。「予選は緊張しましたが、決勝トーナメントに進んでからは『行けるところまで行こう』という精神で楽しく臨むことができました」と振り返ります。「準々決勝、準決勝はほかの2人が4射的中だったのに、自分だけが1本外していたんですよ。決勝は全員が4射的中できれいに勝つことができました。やっぱりうれしかったですね」



高校時代の悔しさをバネに


 表舞台に立つ機会こそ多くはありませんでしたが、中学から社会人まで一度として競技生活が途絶えることはありませんでした。まさに「継続は力なり」を体現する選手です。「続けられた理由は月並みですが、『弓道が好き』ということに尽きますね。競技の魅力は、努力した分、成長が実感できるところです」と笑顔で答えます。
 藤岡第一中入学とともに弓道を始めました。部活動見学で袴姿の先輩たちが矢を放つ姿に感動を覚えたそうです。的に向かって射るという初めて見る光景に、自分もその場に立ちたいという思いを強くしました。弓道は大半の選手が中学から競技を始めます。いわばほぼ全員が同じスタートラインに立った状態です。「まずは型を覚えることから始まって…。弓を引く筋力もなかったので、筋トレにも取り組みました」と話します。中学2年の県大会で優勝したことは、今も強く心に残っています。「練習したことが結果として出せたことがうれしくて。そこからさらに弓道にドはまりしましたね」と言葉に力がこもります。中学3年時は本県開催の関東大会で個人戦優勝という栄誉にも輝きました。


神経を研ぎ澄ませ、一つ一つの細かな動作を確認していきます(写真中央)


 進学した佐野高校には弓道部がなく同好会があるのみで、当初は競技を続ける意思はありませんでした。しかし、その年の新入生は中学時代、ともに競い合った県南地区の弓道経験者が10人以上おり、誘われる形で入会。同好会も部に昇格しました。ただ中学時代の実績とは裏腹に、高校では目立った活躍ができませんでした。「正直、高校時代は射る時の変な癖が抜けなくて、スランプの状態でした。インターハイも国体も出場できなくて。その悔しさがモチベーションとなって、その後も競技を続けているというのもあります」


地元開催の国体に意欲


 大学は日本工業大学(埼玉県宮代町)に進学。弓道部はありましたがそこには所属せず、栃木県弓道連盟藤岡支部所属で競技を続けました。同支部には寺﨑さんが中学時代から指導を仰いだ、本県弓道界の第一人者、関根 清隆さんがいることが大きかったそうです。卒業後は弓道部のある佐野市の自動車部品メーカー、シーケーエンジニアリング(現・マレリ)に入社。同社弓道部を創設したのが関根さんという縁もありました。国体は2015年の和歌山国体が初出場。2回目の挑戦となった2018年の福井国体で頂点に立ちました。入社当初から寺﨑さんを見続けてきた同社弓道部主務の大塚  俊幸さん(39)は「とにかく練習を欠かさない、努力の虫です。若いころはやんちゃな面もありましたが、今やチームの主軸に成長しています」と信頼を寄せます。
 寺﨑さんにとって、やはり地元開催の国体は特別な存在です。「現役バリバリで競技をしている時期にとちぎ国体を迎えることができるのは大きいですし、絶対に出場したいという気持ちです。自分はまだまだ未熟だと思っているので、自身のレベルアップ、成長を止めないようにしたいです。もし出場できれば、両親や会社の皆さんなど支えてもらった人たちに、今の自分の姿を見せたいですね」


稽古のつかの間、他の選手と笑顔で談笑する様子(写真左)


穏やかな表情でインタビューに答える寺﨑さん